山野草の仮画像リスト

写真は一部、借用してますが、自前で撮影次第、
差し替えますのでそれまで、お許しください。
薬草名 ケシ(阿片、あへん、罌粟殻、おうぞくこく)
写真
コメント 東ヨーロッパ原産。イラン、トルコ、インド、エジプト、パキスタ ンや、わが国でも栽培されるが、一般には栽培することを法令で禁止 している。  
種子を10月ごろにまき、翌年の5〜6月に開花する2年草。茎は直立に伸び、高さ1〜1.5mとなり灰白色。葉は広長卵形で長さ20〜30cm と大きく、先はとがり、基部は幅広く茎を抱くようにつく。縁には大きい鋸歯があり、葉面は白みを帯びた緑色で互生する。花は白、紅、紫などで一日花。つぼみは下向きにたれて2枚の萼片に包まれている が、上向きになる途中で萼は落下し、4枚の花弁が開く。中に多数の雄しべと、中央に大きい1本の雌しべがある。子房は倒卵形で頂に放射状の柱頭が並ぶ。熟すと球形の刮ハを結び、長さ4〜5cm。上部に多数の小孔ができ、風に刮ハが揺れると、この孔より小粒の種子が飛び出る。種子は腎形で表面に網状紋がある。

類似植物 オニゲシ、ヒナゲシ:ケシの栽培はアヘン法、麻薬取締法により一般の栽培が厳重に規制されている。麻薬成分を含まないオニ ゲシ、ヒナゲシは自由に栽培されるので、観賞用として花屋の店頭でもよく見られる。

名前の由来:種子がアブラナ科のカラシナの種子に似ていることに由来する。カラシナの種子を芥子(がいし)と書き、芥子を誤ってケシと読んだ時代があって、種子が似ているのでケシとなった。罌粟はケシの中国名。 罌は「瓶」のことで、ケシの刮ハをさし、中に粟のような種子が入っ ていることに由来する。

採取時期と調整法:
アヘン末:
開花後10日前後(栽培種の早生種では5月20日前後、晩生種では5月30日前後)に、未熟果の表面に刃物で 傷をつけ、出てくる淡紅色の乳液を凝固させる。これを竹べらでかき集め、火熱乾燥すると黒色に固まる。これが阿片で、日本薬局方では 均質な粉末にし、局方名を「アヘン末」とした。モルヒネ含量は9.5〜10.5%で、含量がこの範囲を超えると、デンプンか乳糖を加えて薄めて調整する。
ケシガラ(罌粟殼、おうぞくこく):アヘンを採取した刮ハより種子をとり除き、果皮を乾燥したもの。
ケシの種子(罌粟子、おうぞくし):ケシの種子のみを集めたもの。白みのある種子で、100粒が約0.04gの重量となる。

成分:日本産のアヘンは24種以上のアルカロイドが知られている。そのうち主なものはモルヒネ、コデイン、ノスカピン、パパベリンなど である。モルヒネは鎮痛、鎮静、催眠の薬効があり、塩酸モルヒネ(日本薬局方、麻薬、毒薬)として用いる。コデインは鎮咳作用が強く、 リン酸コデイン(日本薬局方、麻薬、劇薬)として用いる。ノスカピ ンは強力な鎮咳作用があり、速効性、また気管平滑筋に対し弛緩作用がある。ノスカピンは塩酸ノスカピン(日本薬局方)として用いる。
パパベリンは弱い麻酔作用があり、鎮痙剤、血管拡張剤として塩酸パパベリン(日本薬局方)を用いる。ほかに樹脂、粘液質、ゴム質を含む。

薬効と用い方:
アヘン末は重要な医薬品に:
ケシを直接薬としては用いない。アヘン末を原料に各種重要な医薬品が製造される。
鎮咳、鎮痛、鎮静に:ケシガラを刻み、1日量5〜10gをせんじ、3 回に服用。ケシガラにはまだ多少のアヘンアルカロイドを含む。
その他の用途:
種子を菓子の材料に:
コンペイ糖の角は、ケシの種子を核とし砂糖をまぶして作る。また、あんパンの上に香味をつけるために、種子を振りかけることが多い。
津軽はケシの古名:本州の北端青森県津軽地方に、室町時代ポルトガル人によって初めてケシの種子が渡来、この地方でわが国最初の栽培が始まる。大阪、和歌山地方で江戸時代にケシの栽培が行われるが、 いずれもケシをツガル(津軽)と呼んでいた(伊澤一男著:薬草カラー図鑑より引用)
inserted by FC2 system